核兵器廃絶日本NGO連絡会


核兵器禁止条約発効から3周年記念 全国中継 核なき世界を日本から

 

反核法律家協会

声明・決議

核兵器禁止条約の発効を歓迎し、

「核兵器も戦争もない世界」の実現を求める声明

 本日、核兵器禁止条約(以下「本条約」という)が発効した。

 本条約は被爆者(hibakusha)の長年の願いであった。被爆者(hibakusha)をはじめとする反核平和を求める世界の人々は「核兵器と人類は共存できない」と叫びつづけ、ついに本条約が発効したのである。

 本条約の発効によって、締約国は、核兵器の開発、実験、保有、移譲、使用、使用するとの威嚇などは禁止され、その廃絶が法的に義務付けられることになる。そして、この発効は、非締約国との関係でも、核兵器の非正当化と国際慣習法上の違法化の促進を意味している。

 新型コロナウィルス(COVID-19)感染症の世界的危機にもかかわらず、軍拡に突き進む世界情勢の中、本条約の発効は「核兵器も戦争もない世界」を実現する上で、画期的な一歩となるものである。私たちは、本条約の発効を心から歓迎する。

 

 本条約は、核兵器が二度と使用されないよう保証するための唯一の方法は、核兵器の完全な廃絶であり、法的拘束力のある核兵器の禁止こそ「核兵器のない世界」の達成及び維持に向けた重要な貢献となる、核兵器の禁止は国家的・集団的安全保障に資する最高の地球的公共善である、としている。そして、核兵器のいかなる使用も国際人道法の原則(the principles and rules of international humanitarian law)に違反するとしている。

 本条約は、非締約国である核保有国を直接法的に拘束するものではないが、核兵器使用にかかわる国際人道法の解釈に大きな影響を与えることになる。核保有国はそのことを知っているがゆえに、本条約を敵視しているのである。「核兵器のない世界」を実現するうえで、本条約の発効が持つ法的意味は決して小さくない。

 

 さらに、本条約は、第4条(核兵器の全面的な廃絶に向けた措置)において、核兵器保有国にも条約への加盟の道を開いている。そして、第12条で、「締約国は、すべての国によるこの条約への普遍的な参加を得ることを目標として、この条約の締約国でない国に対し、署名、批准するよう奨励する」としている。本条約の普遍化を求めているのである。

 

 ところが、唯一の戦争被爆国である日本政府は、本条約に署名も批准もしないとしている。日本の安全保障は、アメリカの核の傘に依存するという拡大核抑止論に基づくとしているからである。このような日本政府の態度は、核兵器の使用がもたらす「壊滅的な人道上の帰結」に向き合っておらず、唯一の戦争被爆国として許されるものではない。核抑止論は安全保障の根拠とはなりえず、日本の安全保障は、本条約に加盟することによって図られるべきである。

 日本政府は率先して本条約に署名・批准すべきである。

 

 忘れてはならないことは、核兵器禁止だけでは通常兵器の使用による武力行使がなくならず、「核兵器も戦争もない世界」は実現しないことである。日本国憲法9条が定める戦争放棄、戦力不保持、交戦権の否認という徹底した非軍事平和主義の規範を世界化・普遍化することが求められている。

 

 私たちは、核兵器保有国や日本を含む核兵器依存国が早期に本条約に署名・批准するよう、強く要求する。

 また、私たちは、憲法第9条の非軍事平和主義の規範を世界化・普遍化して、一日も早く「核兵器も戦争もない世界」が実現するように、被爆者をはじめとする平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、引き続き努力することを誓うものである。

2021年1月22日

日本反核法律家協会 会長

大久保 賢一